年の瀬が迫る12月下旬、雪が降りしきり、気温は氷点下という寒さの中、E邸の部屋の中は、なんとも心地よい暖かさ。「暖房は朝10時から止めています」とEさまは話します。お昼を過ぎても室内の温度計は23℃ほどをキープ。家の断熱・気密性能の良さが身をもって感じられます。
Eさま一家はご夫婦と娘さん、Eさまのお母さまの親子3代にわたる4人家族。Eさまが小学生の頃から住んできた家を建て替え、2022年10月から新居での暮らしが始まっています。
こちらの写真は、建て替え前の家です。Eさまが小学生の時にお父さまが建て、築57年が経過していました。
急勾配の屋根に降り積もった雪が一気に落ちると2階に届くほど。重く湿った雪の除雪作業はかなりの重労働でした。他にも、家の中の寒さ、カビや結露にも悩まされていました。
「老後は快適な生活を送りたい」――。Eさまご夫婦は建て替えを決意し、当社にご依頼いただきました。
建て替え後のE邸は、無落雪屋根(フラットルーフ)になり、カーポートも設置されました。外壁はホワイトのサイディングを基調に、玄関回りには道産カラマツ材を使用。木目がアクセントのスタイリッシュな外観になりました。
大空間を効率的に暖房するパッシブ換気
E邸は各部屋がゆったりとした造りです。リビングダイニングはキッチンの含め約20帖の開放的な大空間。床には、自然塗料のオスモカラーで仕上げたナラの無垢材を使っています。
リビング上部は吹き抜けに。こうした広い空間でも暖かさを保っているのは、断熱性能が高いから。E邸の断熱性能はUA値0.23Wと国の省エネ基準を上回り、断熱等級6相当の水準です。また、第三者機関による建築物の省エネ性能を評価・認定するBELS(ベルス・建築物省エネルギー性能表示制度)では、最高ランクの★5つを獲得。高い省エネ効果が期待されます。
前の家では、「暖房のない部屋に入る時には服を着込んでいました」と奥さまは振り返ります。今では、室内どこでも薄着で過ごせる暖かさになりました。
2階天井にある排気口と、各部屋の壁上部にある循環用の通気口
暖かい空気を効率よく循環させ、同時に湿気対策にも一役買っているのが、パッシブ換気システムです。「天井やタンスの裏、植木鉢など、いたるところあったカビや結露から解放されました」と笑顔の奥さま。パッシブ換気システムによる室内の空気の動きは1秒間に15~20㎝ほどのゆっくりとしたスピードなので、風が肌に当たるといった感じもなく、室内は快適な湿度に保たれています。
外気を活用した食品保冷庫を造作
キッチンはTOTO製。「外の景色が見えるように」との奥さまの要望で、壁付けにして大きな窓を設けました。
右奥の扉の先は、外気を取り入れられる食品保冷庫。扉には室内の暖気をシャットアウトするトリプルガラスを使用しました。
下がり壁には娘さんの要望で、イタリア製のステンドグラスを入れました。室内に華やかな雰囲気を演出しています。
その下にはチェリーカラーの木目が優しい雰囲気のキッチンカウンターを造作しました。奥行があり、作業しやすくなっています。リビング側にも引き出しを設け、箸やスプーン・フォークといった食卓でよく使う食器類を収納しています。
ユーティリティには娘さんの勧めでガス式衣類乾燥機「乾太くん」を設置しました。洗濯物を乾燥機で乾かすことができるので、衣類やタオルなどの洗い替えが減り、収納スペースに余裕が生まれました。
1階のトイレはフラットな床と引き戸になったバリアフリー仕様。お母さまの部屋からも廊下側からも入れる2WAYになっています。
自然の景色を切り取るように窓を配置
山の麓に建つロケーションを生かした窓の配置もE邸のポイントです。
階段の途中の大きな窓からは、白樺林の雪景色が望めます。野鳥やリスといった野生動物が時々顔をのぞかせてくれるそう。桜の木もあり、春はお花見も楽しめます。
娘さんの寝室には、リビングの吹き抜け上部につながる窓があります。開けてみると...
吹き抜け窓を通して、額縁にかかった風景画のように小樽の海を望む景色が広がります。
寝室の一角には書斎を設けました。静かな裏山の景色を前に、会社のウェブ会議を行ったり、趣味に励んだりと集中して作業ができる、娘さんお気に入りの空間です。
Eさんご夫婦にお話を伺いました。
江田建設に依頼したきっかけは?
Eさん 娘がインターネットで「省エネ住宅」の情報収集をする中で興味を持ったのが「パッシブ換気システム」でした。そこで、江田建設さんが積極的に手掛けていることを知りました。江田清三社長から話を聞き、「家の暖かさ、湿気対策」といった私たちの希望が叶うことが分かり、依頼を決めました。
江田建設との家づくりの感想は?
奥さま 江田社長は、施主である私たち以上に家づくりに真剣でした。例えば、キッチンパネルの色に悩んで何度も変更したのですが、そのたびに「ショールームで直接見た方がいいよ」と、一緒に足を運んでくれるなど、一つひとつに妥協がなく、安心して家づくりをお任せできました。
Eさん 1階トイレの流水音が気になるという相談をしたところ、メーカーの担当者からは「節水タイプは吸い込む音がするので仕方がない」との返答でしたが、江田社長が試行錯誤を繰り返し、航空機の防音材を配管に巻く方法を見つけてくれたのには感激しました。入居後も相談すると、きちんと解決してくるので、将来、娘が住み継いでいく上でも安心です。
新居での生活はいかがですか?
奥さま 寝る前に暖房を切るのですが、起きてすぐでも室温が20℃ぐらいに保たれていて、朝から快適に過ごしています。長い間、悩みの種だったカビや結露、室内の寒さから解放され、のびのびとした生活を送っています。