断熱気密暖房について

1 はじめに

今の時代、新築住宅はどれも省エネで暖かく、結露もなく寿命も長いだろうと思っておられる方が多いかもしれません。残念ですが、現実はそうでもありません。

写真:施工中の住宅

江田建設が、住宅の高断熱高気密に取り組んでいるのは、暖かく結露のない家で、暖房エネルギーの浪費を防ぎ、家計にも環境にも優しい住宅を建て、お客様に喜んで頂きたいから。そしてそれは北海道の住宅にとってとても重要なのに、設計、仕様、施工面で不十分な断熱気密が現在も行われている現実がまだまだあるからです。

江田建設は住宅の断熱・気密・換気・暖房の改善のために、大学や民間の研究者、そして他の住宅会社や各種メーカー、そして社内の大工や職人ともさまざまな試行錯誤を重ねてきました。当社の高断熱高気密化の取組をご紹介します。

2 住宅の高断熱・高気密化で問題発生

1973年、北海道の住宅建築業界は第一次オイルショックに直面しました。今までのように暖房のために灯油をたくさん使うわけにはいかなくなりました。住宅の省エネを実現するために、壁の断熱材を50㎜から100㎜に倍増させ、窓も木製の単板から、ペアガラス入りのプラスチックサッシに代えました。住宅の高断熱・高気密の黎明期でした。

しかし当時の高断熱・高気密住宅には大きな問題がありました。住宅の結露、カビなどの問題が社会問題化したのです。壁の中で結露が生じ、梁や柱、床材などが腐ったりナミダタケが発生する、断熱材が濡れて断熱性能が落ちる、室内にカビが繁殖し、室内空気を汚染するなどの現象です。

床下に発生したナミダタケの綿状の菌糸
引用元: http://www.iesu.co.jp/shinbun/2003/15-7-5.htm#2

その結果、せっかく建てた新築住宅の断熱性能が早期に劣化し、住宅の寿命も短くなるといった深刻な問題が発生しました。現在の既存住宅・中古住宅にもその問題を抱えている物件はあります。新築物件でも、ここまで極端ではないにしても根本解決できていない住宅はあります。これらの現象が断熱・気密・換気・暖房などの総合的な要因で発生しているということを当時、北海道の住宅業界はすぐには解明できませんでした。

3 断熱・気密をしっかり学ぶ場がない!

当時私は「なぜ高断熱・高気密住宅で壁内結露やカビが生じるのか理由が知りたい」そして「ごまかしのような対処ではなく、根本的な原因と解決方法を学び、家づくりに取り入れないと、工務店としての良い家を建てるという役割を果たせない」と考えました。

しかし学べる場はほとんどありませんでした。小樽市内には当時この問題に真正面から向かい合う住宅会社はなかったと思います。小樽に限らず当時の建設業界は品質も積算や会社経営もどんぶり勘定というか、いろいろな面でずさんな部分がありました。大工さんも慣れない断熱施工・気密施工を現場に取り入れることに抵抗感を持っていました。「暖かい家に住んだら身体を壊すぞ」なんてことを言う人までいました。

北海道内でも当初は土屋ホームや札幌の一部の工務店など、ごく一部の勉強熱心な住宅会社が対策に取り組んでいただけで、多くの住宅会社は、この問題に対し、本気で取り組まない、あるいは課題解決のために模索している状況でした。

4 原因を理解し現場での試行錯誤も

木造工法の技術研究に取り組む新住協(新木造住宅技術研究協議会)が1988年に設立されたので私も加入し、メカニズムを学びました。

原因は、住宅の断熱性能が上がったにもかかわらず、防湿・気密性能が低く、換気も不十分、暖房計画にも問題があったことでした。暖房によって室内の暖かい空気や水蒸気が、建物内外の温度差や、風力などによって生じた圧力差によって壁や床などさまざまな隙間から、壁の中に入り、そこで冷やされて結露が発生、木材に水が染みこんで腐る、カビが発生して、カビの胞子が室内の空気を汚染していました。

高性能な断熱材を分厚く壁・床・天井に配置すればokというわけではなく、「断熱」と同時に「気密」も強化し、壁内に水蒸気を入れない。そして適切な量の換気を行うことが必要でした。しかし、これらのノウハウは誰かに答えを教えてもらうだけでは十分に理解できません。現場の代理人(現場監督・帳場)がしっかり理解し、大工や職人も実践できなければ、本当の高断熱高気密は実現しません。

5 断熱・気密の研究を仕事のあとに...

実際に当社の大工とともに、断熱・気密性能を高めるための理屈と技術を身につけるために、ソトダン21やパッシブシステム研究会、欠陥住宅を考える会などの活動にも加わりました。

写真:研究会の様子

そこには断熱・気密・暖房・換気などを熱心に研究されている研究者、専門家、工務店がいました。工法、建材の選定、施工の細かな納まり、換気経路、セントラルヒーティングの検証や実践など、検討課題は山ほどあり、一つひとつ検証と実践を繰り返しました。

毎週必ず何かの検証や勉強会に参加していました。江田建設の社屋を1991年に建てた際も124ミリ断熱、そして気密性能も高め、バリアフリーや換気にもこだわって建てました。特に大事なのは施工精度です。断熱材の種類や厚みだけで住宅性能は決まらないのです。

当時私は、父である社長の下で働く立場でした。日中は普通に働き、週1ペースで仕事終わりに勉強会に参加し、勉強会が終わったらまた会社に戻って残業をしていました。今の時代なら、研修などを受け技術や知識を高めることも仕事の一環と考える会社も多いと思いますが、当時は、勉強とはいえ、仕事に支障が出るのは許されない雰囲気でした。

6 江田建設の断熱・気密仕様と性能について

江田建設では外張り断熱工法(外断熱)を基本にしています。構造体の外側に気密・断熱層を作る外張り断熱工法を採用しているのは

  1. 断熱・気密性能を長い間に渡って維持し続けることができる
  2. 充てん断熱を併用することによって、断熱性能をQ1.0(キューワン)レベルに高めることができる
  3. リフォームの時に大がかりな工事をせずに気密性能を維持することができる

からです。

図:外張り断熱工法(外断熱)の断面図

断熱性能を高めるには、断熱材を高性能品にして厚みを増やしたり、サッシをトリプルに変えたりといった仕様を変えることと、施工をしっかりやることの両面で実現できます。300ミリ断熱も技術的には問題なく対応できます。断熱性能のスペックをどこまで追求するか、はご予算も含めてのご相談になります。

なお、江田建設の標準的な断熱仕様は、Q1.0(キューワン)仕様を上廻る、外壁が高性能ロックウール105ミリ + ウレタンボード80ミリ=合計185ミリ=18.5センチの断熱材を施工しています。外皮平均熱貫流率(UA値)は約0.3W/m2Kになります。

気密性能は、江田建設が最近お引き渡しした住宅10棟の気密性能値(相当隙間面積・C値)が、平均で0.35cm2/m2。すべて気密測定を行っており、それが当社の自信でもあります。

7 気密測定は全棟で実施

私と、当社専務(江田清昭・息子です)は、現在でも断熱や気密、換気に関する勉強会には頻繁に参加しています。そこで新たに学んだ技術・知識は現場の大工や職人にも伝え、実践に伝えています。

写真:気密測定の機材

住宅が完成した後、お客様にお引き渡しする前に、当社は全棟で気密測定を行っています。お客様に確かな品質の住宅をお渡しする責任があるだけでなく、お客様との契約内容にも掲げています。万が一、悪い数値が出た場合は当然直します。

大工・職人がしっかりした施工をしたかどうか確認することで、大工・職人の油断・気の緩みを防ぐ意味もあります。気密性能は、大工のミスだけでなく、水道配管、電気配管、LANケーブルの配管などを行う職人の施工に問題があったときも悪い数値が出ます。気密測定を全棟やっている住宅会社はハウスメーカーも含めてそう多くはありません。当社は住宅の品質、施工精度面は、お客様の目には見えない部分だからこそ、そこでの手抜きは許さない。そこを重視しています。

8 床暖房ではなく床下暖房がオススメ

「床暖房」は住宅で人気のアイテム。多くのハウスメーカーが採用しています。足元が暖かい、室内に暖房機がないので家を広く使えて掃除も楽、エアコンに比べて温風を身体で浴びて肌が乾燥したり埃が舞うことがない、などが人気の要因です。ただし、設置コストが高い、床が不快に感じるほど暖か過ぎるといったデメリットも指摘されます。

一方当社は、床暖房ではなく「床下暖房」をオススメしています。

そもそも当社の高断熱高気密住宅では、家の中全体の断熱・気密性能が非常に高いので、熱損失が少ない。つまり、わずかな暖房を行うだけで家を暖かくできます。暖房機の設置数や出力を小さくできますし、その暖房機の稼働時間・パワーも少なくて済みます。なのでパネルヒーターやエアコン、ストーブ、床暖房など、どのような暖房機でも家全体をもれなく暖めることができます。実際にお客様の要望で、家全体をエアコン1台で暖房する方式にした結果「寒さを感じることもない」という感想もいただいています。
とはいえ江田建設のおすすめは、パッシブ換気との組み合わせで良い効果を発揮できる床下暖房です。

図:住宅内で暖気が循環する様子

換気のために屋外から給気した空気はまず、地中埋設管(アースチューブ)を通過する間に地熱で暖められます。そしてその空気は床下に入ります。床下には暖房機があるので、そこで暖めます。その上でガラリなどから1階の各部屋に新鮮で暖かい空気として供給されます。そしてその空気がゆるやかに上昇する中で各部屋を通り2階、そして天井から排出されます。換気を兼ねた暖房とも言えます。

なお玄関の土間だけは床下暖房ではなく局所的に床暖房も行っています。玄関ドアも断熱仕様ですが、さすがにドアを明けていると冷気は入ってきますし、玄関には、濡れた靴も置いておくことがあると思います。帰宅した直後は濡れていた靴も、朝、外出するときには乾いて適度に暖かい状態になっているという工夫です。

9 寒い部屋がないから食品庫(パントリー)も必要になる

高断熱高気密住宅の場合、トイレやお風呂・脱衣所の足元はもちろん、家族が使っていない部屋も含めて暖かい空間になります。その結果、急に寒い部屋に移動することで血圧が急上昇して...というヒートショックなども予防できます。

写真:パントリー

その一方、涼しい部屋でジャガイモ、漬物、ワインなどを保存しておこう、といったことはできないのです。そこで江田建設では、キッチンの近くにパントリー(食品庫)の設置をオススメしています。

10 断熱・気密・換気を語り過ぎる?

江田建設は住宅の断熱・気密・換気に並々ならぬ努力と検証を重ねてきました。お客様との打合せでもつい、住宅性能の話を熱っぽく話してしまうことがあります。できるだけわかりやすく手短にお伝えしたいとは思っています。

写真:代表取締役 江田清三

また、住宅デザインやご予算、間取り、キッチンやインテリアなどのこだわりを実現させることにも力いっぱい対応させていただきたいと思っておりますので、断熱・気密・換気の話ばかりというわけにもいきません。

でも、特に住宅性能に関する部分では、思いが溢れすぎて、お客様にびっくりされることもあります。お客様に住宅をお引き渡しして、数年経ったころに

「江田さんが断熱気密のことを熱心に話すのを聞いて、実は当時、意味は全部はわからなかったけど、なにやら真剣だということは伝わったし、実際、一冬越した時に、冬の暖房費も安く、快適に暮らせているから、江田さんに頼んで良かったと思いましたよ」

と話して頂いたこともあります。当社の高断熱高気密や、パッシブ換気の実践が、お客様の満足につながる自信はあります。しかし、今のところ、営業トークとしてわかりやすくお客様に説明できているかは、定かではありません。

11 江田建設はすべてのお客さまと住宅性能保証契約を結びます。

今どきは高断熱・高気密が当たり前。ではその性能を保証できる会社はどれだけあるでしょうか。またシックハウス新法が施行された2003年以降も、シックハウス被害が後を絶ちません。
江田建設は、すべての住宅に「住宅性能保証」と「温熱環境性能保証」を結んでいます。
また、「工事請負契約書」および「約款」については、日本弁護士連合会「消費者のための家づくりモデル約款」に基づき契約書を作成しています。

日弁連モデル約款とは、消費者にとって著しい不利益をもたらす条項を排除した約款です。
詳しくはこちら » 日保弁護士連合会 | 消費者のための家づくりモデル約款

温熱環境性能保証

口約束や宣伝のためのフレーズではなく、請負契約時に性能保証値を盛り込んだ性能保証契約を締結。完成・引き渡し前に保証値がクリアできていることを確認します。
保証内容は(1)から(4)の通りです。このうち特に気密性能と換気量については、測定によって検査し確認いたします。

設計と工事管理では、これらの性能保証値を達成できるかどうかがすべての判断基準となります。仮に費用面で有利でも、性能を保証できない工法は採用しません。
温熱環境性能保証は、「北海道の家づくりを学ぶ会」が消費者の立場に立って推進しています。江田建設はその趣旨に賛同し、すべての住宅新築契約に保証をつけています。

  1. (1) 断熱性能-熱損失係数(Q値) 1.45W/m2・K以下とする。(契約により 1.3W/m2・K~1.0W/m2・K)
  2. (2) 気密性能-相当隙間面積(C値) 0.5cm2/m2以下とする。
  3. (3) 換気は第3種換気システム・第1種換気システム、またはパッシブ換気システムとし、換気量については別途計画書に基づいて保証する。
  4. (4) 暖房設備は、全室暖房とし、暖房時の居室上下温度差は2℃以下とする。
  • ※気密性能及び換気性能については、工事完了時、測定検査による保証達成を確認の上、引き渡すものとする。
  • ※CO2測定は完了時全棟行う(無料)
  • ※VOC(化学物質)測定-工事完了時に測定検査を行う(有料)。
  • ※断熱性能については、赤外線カメラ(サーモグラフィー)による測定を行う(測定時期/冬期 1月~2月・有料)。

住宅性能保証

高性能で耐久性の高い住宅を、安心してお求めいただけるように創設された、一般財団法人住宅保証機構が運営する制度です。
江田建設は住宅保証機構の登録業者です。
すべての新築住宅を対象に、最長10年間保証します。

詳しくはこちら » 一般財団法人住宅保証支援機構

保証内容

長期保証と短期保証
保証期間中に生じた不具合(雨漏り、基礎の沈下など)に対して、無料で補修します。特に、基礎、柱、はりなど構造上重要な部分の性能や屋根や壁の防水性能は、「最長10年間」とし、長期にわたり建物の性能が保証されます。

  保証部分 保証の対象となる事例 保証期間










基礎 破損、不同沈下など 10年
不陸、たわみ、破損など
傾斜、たわみ、破損、雨水の室内への侵入など
屋根 たわみ、破損、雨漏りなど
土台、柱など 傾斜、たわみ、破損など



上記以外の部分 仕上げの剥離、建具の変形、浴室の水漏れ、設備の不良など 1~2年

おもな免責

●噴火、洪水、土砂くずれ、地震・台風等によるとき
●火災、爆発、暴動等によるとき
●住宅の不適切な維持管理・使用によるとき
●自然の消耗、変質等によるとき