猫と快適に過ごすシンプル&平屋の家 小樽市K邸

小樽市のK様ご夫婦のご自宅新築を担当させていただきました。

K様が要望したのは、階段もない間仕切もない一切の無駄がない回遊動線の平屋建てです。人間と21歳になる老猫が快適に共存できる住まい、どちらかというと猫ファーストの家づくりでした。

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コロナ渦から世の中の状況は大きく様変わりしています。

ウッドショックにはじまり、その他資材も軒並み価格が高騰を続け、半導体不足により必要な物が容易に手に入らなくなり、さらに重ねてロシアウクライナショック。

いまでは建設資材に限らず、電気代や食料品などの生活必需品までもが様々な複合的要因により値上げが進んでいます。

そんな価格高騰の中ではありましたが、普段通らない道で偶然見つけた好条件の土地に巡り合い即決をしたご夫婦。"機を見るに敏"という表現がありますが、その場で不動産担当者と連絡を取り、敷地条件から次の日には建物規模と間取りがほぼ確定。必要な面積を確保でき、2台の車を広々停められるスペースもあり一切の不足がないと判断、即決したそうです。土地もご縁なのでしょう。偶然見つけたこの土地が最終的な家を建てるきっかけとなりました。一度住宅ローンの返済期間を考えて10年以上前にマイホームの話題があがったそうですが立ち消えたまま、その後は人生設計の中で家を建てる選択肢は一切なかったそうです。価格高騰の中、迷って少し様子を見ようという方も多いかと思いますが、一度上がった価格が来年には下がっているかというと、それは誰にもわかりません。

今回は不安と混乱が入り混じるような突然のことでしたが、良い土地と巡り合ったタイミングで、買ってしまえ!というご夫婦の勢い。

結果的には建築して大満足していただけました。

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Kさまの声

小樽市内での工務店選びには一切の迷いもなく、長年パッシブ換気住宅を研究しながら建築実績の多い江田建設さんでした。知人経由で良い話しを聞いていて、リフォームでも断熱改修や性能向上リノベも施工している工務店です。専務の江田清昭さんに細かく相談に乗ってもらい、イニシャル・ランニングコスト含め、この先長く住み続けることが可能な環境を整えて欲しいと要望するのと同時に、予算に関しても細かく相談し水廻りや内装などの製品選びも親身に話しを聞いてもらえたのがとても心強かったです。

【性能測定値】

・長期優良認定住宅

・BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)

★★★★★ 1,089.1MJ/(㎡・年) 設計一次エネルギー消費量42%削減

 ・外皮平均熱貫流率=UA値 0.23w/(㎡k) 断熱等級6

 ・相当隙間面積実測値=C値 0.2㎠/㎡ 

【気密測定の様子】

弊社では、施主様と必ず現場施工した大工が毎回気密測定に立ち会いますが、今回は電気や設備関係の施工業者も集まり、皆で勉強しながら測定を行いました。

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デザイン上の特長は?

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シンプルなデザインがご要望でしたので、全体的に白と黒でまとめ、広い面積ではないので、意識的に直線と余白をつくりあげています。玄関入ってすぐの廊下は、スペースごとの境に垂れ壁もなく、センサー照明を活用し、屋内外スイッチ等が目に入らない位置に隠して設置。右側壁のブラケット照明へ視線がいくように計画しています。

シューズ収納も真っ白のマット素材を選び、それに合わせ収納と壁が一体化するようにクロスを選択。視線を奥方向へ直線ラインで意識しているのと、真っ白の収納は高さがあることで視界から消えるという目の錯覚を起こし、靴はどこに収納するの?と遊びに来た人達に聞かれる程に一体化した完成度に仕上がっています。

また、インテリアの一部として設置したLDKの全面採光の吊戸枠の素材と色に合わせ、巾木は高さのないアルミ巾木を採用。全居室が繋がっていることもあり、目立たずスッキリおさまっています。

キッチンはLDK側にも沢山入る収納があり、家具のようなサイズ感とダークカラーで、リビングのメインとなっています。床材やクロスなどを決める際はキッチンカラーをベースに検討していき、カウンター上のペンダントライトは奥様のお気に入りです。

最近は冷蔵庫などの家電サイズも大きく家具化していますので、将来買い替える時の事を考えた時に、設置場所のせいで欲しい家電が買えずに諦めるということがないよう、あえて冷蔵庫スペースという仕切りをつくらず可変性を持たせました。

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猫との暮らし

Kさまの声

猫がいる暮らしなので、床材はカラーフロアですし特に珍しい製品は使用していません。無垢のフローリングなど欲を出せば色々取り入れたい製品はありますが、一ヵ月待たずにボロボロになるのが容易に想像できます。購入したソファーはすでに爪とぎ化、ベッドは猫の昼寝用に占領されています。※人間の物は猫の物

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建物正面には縦にならぶ3つの窓。

ここは下段の窓は床ラインに合わせ、猫が外を覗ける高さに設置しています。毎朝外を覗くのが日課になり、外の風景を見て満喫しているのが伝わってきます。

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Kさまの声

今後はこの猫スペースにキャットタワーを設置しようか悩み中です。

キャットウォークのあるおウチも羨ましいですが、我が家は老猫なので落下することを想定してあえて設置しませんでした。

インスタグラムなどにはさまざまな建材や間取りが紹介されています。でも我が家の事情としては・・・

以前の住まいでは、留守中に猫がクローゼット折戸やリビングドア次から次と開けて各スペースを日夜巡回警備?していたそうで、開けることはできても閉めてはくれず...

帰宅してまず最初に全てのドアを順番に閉めていくという行動が積み重なりストレスに感じていました。

注文住宅なので扉のない家を要望したところ、荷物を持って歩いていても開けるドアがないことが想像以上に快適なこと、料理など作っている間にお掃除ロボットが一周して勝手に掃除をしてくれることで生活の時短にもなっているなどメリットがいっぱいでした。

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水廻り空間に関しては狭いのがどうしても嫌なので、玄関から続く廊下奥には、アイロン等の作業台や洗面台にユニットバス、洗濯干しスペースを大きく確保しました。

特に洗面所などの水廻りは埃もたまりやすく、北側等の暗くて狭い空間に押し込まれがちですが、その空間が広く明るいだけで、動きやすく掃除も容易になることでストレスが減り、たとえ坪数が小さくても豊かに過ごせるカギのような気がします。

収納は水廻りから寝室に繋がる廊下をウォークスルークローゼットとして大容量に確保しました。天井も2600㎜と高いため、収納ユニット上部にもスペースが確保され、入居後は一切の家具を購入することがないように計画しています。

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一番悩んだのが、常にどこに置くか迷う猫トイレ。

動物と人間お互いが視線を気にすることのないように扉付の猫トイレ空間を計画し、ニオイ対策に常時換気付きとしています。壁面はタカラスタンダードのホーロー内装材エマウォールを貼り、傷も気にならず掃除も容易です。猫トイレ空間上部は天井までの可動棚の収納とし、日用品のストック収納と、最上段にはごちゃつきがちなネット配線等のルーターとブレーカボックスが目につかない場所に収納されています。ここはすべてオーダー依頼しました。

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住み心地について

Kさまの声

延床面積は小さいですが、全体的に通路幅を広くしているので、キッチン作業や時間のない朝に洗面所やウォークスルー内で2人で動き回っていても、猫が足元を邪魔してきても狭さをまったく感じません。

また、4月の北海道というとまだ寒い日が多く、その年によっては5月になっても朝晩ストーブを使用していることがあります。朝出かける際に暖房を切り、夜遅くに帰ってきても23℃~25℃と安定していて、家中どこにいても室温が変わらず毎日とても快適に過ごしています。

この快適さは動物にも敏感に伝わっているようで、20年も一緒にいると5回目の引越しとなりますが、今の住まいが一番のお気に入りのようです。特に以前の住まいでは歳を重ねて寝る時間も増え、白内障と足腰の弱さから高い所にジャンプするのも一苦労で動きが悪かったのですが、転居してきてからは毎日回遊動線を右から左からと歩き回り、途中で窓から外の世界を覗き生き生きして毎日を過ごしています。そして、何故か苦労していた高い所に登るという動作ができています。動物の謎です。

江田建設さんは、新築に関しては高性能な完全注文住宅を基本とし、予算に合わせて床材や水廻り製品などメーカー選びや製品を選択することができました。

選択肢があることで決めることも多く苦労はしますが、予算内でお金を掛けるところと妥協しても良い箇所が明確にわかり、また、物理的にも金銭的にも不可能なことはハッキリと伝えてくださり、メリット・デメリットも説明していただけたのが有り難かったです。

引渡しが終わったから家づくりは終わりとは考えていません。

住み始めてからではわからないこと、これから変化していくライフスタイルとしての余地を残しているので、これから先少しずつ住みやすい環境をつくりあげていくために日々楽しく過ごしています。

階段もない間仕切もない一切の無駄がない回遊動線というわがままな要望でしたが、そのすべての想いを形にしていただけて今は感謝しかありません。

建築概要

敷地面積 200.27㎡
延床面積 80.26㎡
基礎断熱 XPS 100m/m 外張り
断熱材 強化硬質ウレタンフォーム + 軸間高性能グラスウール 105m/m
開口部 YKK AP:APW430 W-Low-E Arトリプルガラス APW330高断熱複層ガラス

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